【眠りが浅いことは問題じゃない?】中途覚醒の本当の原因と改善法
目次
熟睡したいのに、思うように眠れないのはなぜ?
「夜眠っていても、なぜか途中で目が覚める。」
「もっと寝ていたいのに、朝早くに目覚めてしまい、そこから眠れない。」
「ちゃんと寝ているのに、日中の眠気がひどい。」
日本人は世界でもっとも睡眠時間が短い民族だと言われていますが、 なかなか睡眠時間を取れない代わりに、睡眠質を向上させたい人も多いかと思われます。
この記事は「眠りが浅いことで、夜中に目が覚めてしまったり、眠りが浅く日中の眠気が解消されない人」に向けて書いています。 記事内で触れていますが、「睡眠の浅さ深さ」ということは実はあまり気にする必要はありません。
早朝や中途によく覚醒するようであれば、この記事を読んで睡眠習慣を変えていくことをオススメします。
レム睡眠とノンレム睡眠、深い眠りと浅い眠りの正体
巷でよく聞く「レム睡眠」「ノンレム睡眠」というのは単純に眠りの深浅のみを表す言葉なのでしょうか。用語の本当の意味を理解したうえで、本質的な眠りの深浅について考えていきましょう。
レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の2つに分けることができます。
「レム(REM)」は「Rapid Eye Movement」の略語で、レム睡眠とは「睡眠中に高速の眼球運動が行われている」睡眠のことだと言われています。
その逆にノンレム睡眠は「眼球運動がない時間の睡眠」のことを指します。 1日の睡眠を分けると、「レム睡眠:ノンレム睡眠=2:8」のバランスだと言われます。 夜眠りにつくと、
まず最初にノンレム睡眠が始まり、その約90分後にレム睡眠がスタートします。 …そして、また約90分後にノンレム睡眠に…という具合に朝起きるまでレムとノンレムが交互に切り替わります。
ノンレム睡眠は4つに分けられる
ノンレム睡眠は、眠りの深さ度合によって4つのフェーズに分けられます。 特に眠りが深い3段階目と4段階目は、いわゆる私たちが日常的に用いる「深い睡眠」に入っている状態となります。 この2つの睡眠はすごく簡単にまとめると、
- ノンレム睡眠 : 疲労した脳を冷やすことで、休ませる&日中の記憶を定着させる眠り
- レム睡眠 : 全身の筋肉の緊張を解き、消費エネルギーを低下させて、身体を回復させる眠り
と整理されます。 またよく勘違いされますが、「レム睡眠=浅い睡眠」ではありません。 浅いノンレムの眠りよりもレム睡眠のほうが、周囲からの刺激に対して目覚めにくいことがわかっています。
現代人に不足しているのは実は「浅い眠り」
上でレム睡眠とノンレム睡眠の関係をまとめてみて、「自分の眠りが浅いな」と思っている方はノンレム睡眠が不足しているのではと思われたかもしれません。 日本において睡眠不足(参考記事はこちら)の方が40%近く存在することがわかっていますが、そんな状態で問題になるのは「深い睡眠が不足していることではなく、浅い睡眠&レム睡眠の時間が少ないこと」です。 ノンレムの深い睡眠は入眠してからいちばん最初に訪れますが、睡眠不足の場合、その深い睡眠の時間は基本的に短縮されないことがわかっています。
つまり、基本的に睡眠で疲れが取れないなと感じたときは、質ではなく「時間」の問題だと認識しましょう。
浅い眠りによる睡眠負債は生産性を大きく下げる
「睡眠の深さも重要だけど、浅い睡眠の時間も重要なのか」 「浅い眠り」も重要なことをご説明しましたが、あなたが睡眠不足かどうかチェックしましょう。 下記項目にあてはまるものが多ければ、睡眠時間を見直したほうがよいかもしれません。
- 平日の平均睡眠時間と週末の平均睡眠時間の差が3時間以上
- 日中に強い眠気がよく発生する
- ベッドに入るとすぐ眠ることができる人。
大人の場合、入眠に10-30分掛かるのが普通です。横になったらすぐ入眠する方は要注意です。 前提として睡眠に時間に問題があるときは、ベッドにいる時間を増やすことを意識しましょう! 睡眠不足が慢性化した状態(睡眠負債)が続くとパフォーマンスの低下に繋がりますが、6時間睡眠が10日続くと徹夜初日と同じ認知能力になることが研究で判明しています。
多くの人は「眠気の有無」で睡眠状態を判断しますが、眠気を判断するためのシグナルはそこまで強いものではないうえに、寝不足が続くと更にその感知能力が低下するので、自分で思っている以上に寝不足である可能性もあります。
上の「睡眠不足」チェック項目で気になる項目があった場合、 下記対策を取りましょう!
眠りの浅さに対抗する6つのコツ
①寝だめはNG!起床時間を揃えて朝に光を浴びましょう。
そもそもですが、残念ながら人間は「寝だめ」できないようになっています。 平日の睡眠が不足したときに休日長時間寝たくなるのは、不足分を取り返そうという働きですが、まさに平日の「睡眠負債」を返済している状態となります。
そして、週末に寝だめする習慣が続くことで、社会的時差ボケ(ソーシャルジェットラグ)が発生します。 時差ボケの辛さはご存知かと思いますが、平日と休日の起床時間がズレているだけ、毎週1回時差ボケしているのと同じ状態になります。
例えば、朝出勤している方が休日正午に起きた場合を想定すると「毎週末インド旅行」しているのと同じ状態となりますので、そうならないよう平日の睡眠時間と休日の睡眠時間を揃えることを前提に意識しましょう。 継続するコツですが、眠くてベッドに出たくなくても、一度は朝に起きて光を浴びることがオススメです。
また、ただ光を浴びるだけでなく、ちゃんと光を目に入れることが重要です! 視神経の奥にある「視交叉上核」に光が届くことで、体内時計が調整されるためです。 曇りや雨の場合でも、数分で大丈夫ですので外に出て光を浴びましょう。 最初は辛いですが、2週間4回の休日の朝頑張ることで、習慣化する確率が高いでしょう!
②午後14時以降はカフェインを制限しましょう!
人は日々行動するたびに「アデノシン」という老廃物が生成されますが、アデノシンとは人を眠たくさせる「睡眠誘発物質」です。
疲れるほど睡眠欲求が高まるのは、まさにアデノシンが蓄積している結果ですが、このアデノシンとカフェインは構造が酷似しています
少しマニアックな話になりますが、眠りをもたらすアデノシンが居座るべきところに摂取したカフェインが邪魔をすることで、「本来なら眠れるはずなのに、眠いことを自覚できない」状態となりますが、カフェインの覚醒作用はこのためです。
「コーヒーを寝る前に飲んでも寝られるけど…」
と思う方もいますが、これまでの研究でカフェインが体から完全に抜けるには数日 掛かることが判明しています。 個人差はありますが、カフェインが体内で半分になるまで5-8時間は最低掛かりますので、カフェインの含まれているコーヒー・お茶などは14時までにしましょう!
カフェインが含まれている飲料の代表例
1日の摂取合計が200mg以内に抑えることをオススメします。
- ドリップコーヒー 130mg/杯
- インスタントコーヒー 70mg/杯
- エナジードリンク 100mg / 缶
- コーラ 50mg / ペットボトル
- ほうじ茶 100mg / ペットボトル
- ウーロン茶 100mg / ペットボトル
- 玄米茶 50mg / ペットボトル
- 抹茶 45mg / 杯
- 玉露 150mg /杯
ノンカフェイン飲料の代表例
- カモミールティー ★特にオススメ
- ラベンダーティー
- ミントティー
- 麦茶
- ルイボスティー
- 昆布茶
- 杜仲茶
- そば茶・小豆茶
- 黒豆茶
- ごぼう茶
- たんぽぽ茶
- コーン茶
- ローズヒップティー
③寝る2時間前からスマートフォンはやめましょう!
寝る前にスマートフォンで動画やゲームといったアプリを楽しむ方が多いですが、睡眠に悪影響を与えます。 海外での研究で、ベッドでスマートフォンを使う小中学生は、スマートフォンを使わない小中学生と比較して睡眠時間が20分短いという結果がありますが、睡眠のことを考えると寝る前のスマートフォンの使用は極力避けたほうが良いでしょう。
なお、寝る前のスマートフォンが良くない大きな原因として
- スマートフォンが発するブルーライトは、眠気を誘うメラトニン分泌を抑制させるため
- 体内時計が狂い、自然に眠たくなる時間が遅くなります。また、朝起きたくなる時間帯が後ろになるので、寝起きが辛くなる原因にもなります。
- 休もうとする脳が、覚醒するため の2つが挙げられます。 寝る2時間前からスマートフォンやTVなどの発光するものを見ないようにしましょう。また、スマートフォンやPCの輝度を落としたり、メラトニンの抑制効果が少ない暖色系の光(電球色)を照明にすると睡眠改善には効果的です。
④アルコールをなるべく控える。
「お酒は睡眠に良くない」という話は有名ですが、お酒が睡眠に良くないのは「睡眠時間を短縮させる」ためです。 お酒を飲むことで血中のアルコール濃度が上がり、その結果血管が収縮して体温が低下するので寝つき自体は良くなりますし、ノンレムの深い段階の睡眠時間は長くなります。
しかし、アルコールが分解されるときに体内に発生するアセトアルデヒドが原因で、もっとも覚醒しやすい状態である「浅いノンレム睡眠状態」が長く続いてしまい、早朝や深夜の覚醒につながります。 日本では眠れない方が「寝酒」する習慣がありますが、睡眠質を改善する効果はなく、むしろ睡眠にとって逆効果です。
もし、どうしてもお酒を飲みたい場合でも「寝る3時間前」に飲み終えるようにしましょう。
⑤どうしても昼間が辛い場合、15時までに昼寝を!
…とは言っても、なかなか睡眠時間を増やせない方もいますが、 そういった方には「15時までに昼寝する」ことをオススメします。 早い時間の仮眠は夜の睡眠に影響を与えず、強い眠気を抑制させる効果があります。
ただ、「30分以上の昼寝」は避けるようにしましょう。 長い昼寝だと深い睡眠になってしまって起きるのが辛くなるのと、昼寝した後も頭が休息モードに入ってしまった影響でなかなか働かない状態になります。
また、夜の睡眠に悪影響を与え、必要時間ベッドにいてもなかなか眠れなくなったり、睡眠時間が短縮される原因になります。
⑥寝る90分前に入浴をする。
脳や内臓といった体の中心部の体温(深部体温)をコントロールすることで、入眠しやすくなります。
深部体温が低下すると眠くなる性質が人間には備わっていますが、その低下が急激であるほど眠気発生することが判明しています。 一般的に就寝前には深部体温が下がり始めますが、逆に入浴などで体温を向上させて体温低下を激しくさせることで、入眠スピードが向上、深い睡眠に達しやすくなります。
注意点として入浴時のお湯の温度はぬるま湯にしましょう。熱いお湯だと自律神経の交感神経が優位になり逆に眠りづらくなります。
睡眠時無呼吸症候群も疑いましょう!
上記のような対策を取っても、眠りが浅くなってしまう場合、睡眠中に無呼吸を繰り返す「睡眠時無呼吸症候群」を筆頭に睡眠障害や睡眠疾患の可能性が考えられます。 睡眠時無呼吸症候群(SAS)に罹患すると、深い眠りが少なくなるため、睡眠質が悪化します。
学生時代よりより10kg以上体重が増加した方、いびきがうるさいと注意されたことがある方で日中の眠気が強烈な方は一度睡眠外来でSASの診断をされてみてはいかがでしょうか。
眠りの浅さに対する一風変わったアプローチ
途中で目が覚める原因は「睡眠が浅い」ことよりも「睡眠時間が適正でない」ことです。 特に日本人は「睡眠不足」である可能性が非常に高く、その場合はストレスを抱えないレベルで下記対策を実践しましょう。
- 休日も平日と起床時間を揃えて朝に光を浴びる。
- カフェイン飲料は14時までに。
- 寝る2時間前からスマートフォンは使わない。
- アルコールをなるべく控える。(飲む場合は寝る3時間前までに)
- 寝る90分前に入浴をする。
理想の睡眠時間を算出する「O:SLEEP」アプリ
睡眠不足具合をチェックし、各ユーザー毎の理想の睡眠時間を算出できるアプリが「O:SLEEP」です。 また、理想の睡眠時間だけでなく、睡眠医学を基にした睡眠コーチングによって、理想的な生活・睡眠リズムが判明します。
アプリを立ち上げて、枕元にスマートフォンを置いて寝る生活を1週間続けることで睡眠状況を分析します。そこから睡眠や生活習慣をサポートするため、ユーザーそれぞれに最適な睡眠医学に基づいたコーチングを毎日提供します。 ※「O:SLEEP」は現在法人向けのみのサービスとなります。
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