睡眠のサイクルを改善してすっきり目覚める朝を迎えよう
睡眠時間を増やしたり休日に寝て睡眠不足を改善しようとしても疲労が残っていたり、十分に睡眠をとった気分にならないことがあります。
長時間寝るのではなく睡眠のサイクルをうまく活用し、質の良い睡眠をとることが睡眠不足の解消や疲労回復の手助けになります。
目次
睡眠のサイクルとは
睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が交互に繰り返されてます。 レム睡眠は浅い眠りに入っている状態をさします。 目が覚めている時と同様に、脳の一部が起きている状態なので眼球が動いています。 夢を見る場合のほとんどがレム睡眠時です。
逆にノンレム睡眠は深い眠りに入っている状態で、眼球運動がなく脳が休んでいます。
睡眠の質はレム睡眠とノンレム睡眠で決まる
睡眠は約8割がノンレム睡眠で約2割がレム睡眠で行われており、約90分のサイクルで繰り返されています。 7、8時間の睡眠の場合はこのサイクルが約5回繰り返されます。 ノンレム睡眠は時間が経過するほど浅くなっていきます。 それに比べてレム睡眠は時間が経過するほど発生する頻度が増え、自然と目が覚めやすくなるという仕組みです。
睡眠の周期は約90分が快適な目覚めができるといわれていますが、周期には個人差があり前後約20分変動する場合があります。 睡眠時間が長いほどレム睡眠の比率も増え、しっかりと目覚めることができます。
最初の90分が重要
人間にはグロースホルモンと呼ばれる成長ホルモンが分泌されることで細胞を成長させたり、新陳代謝が上がったりします。 ノンレム睡眠の質によってグロースホルモンの分泌量が変わるので最初のノンレム睡眠が重要になってきます。 睡眠直後の90分のサイクル時にグロースホルモンが約7割分泌しますが、睡眠を邪魔されるとグロースホルモンの分泌量が減ってしまいます。
つまり、最初の90分に良質な睡眠をとることができれば、約7割のグロースホルモンが分泌されるという事です。
睡眠と自律神経の関係性
自律神経とは呼吸や体温調整など人間の体の体調を整えるもので、自律神経が乱れると体調不良やうつ病の原因になります。
自律神経には動きが活発な交感神経と、動きがゆっくりな副交感神経があります。 どちらも常に動いており、睡眠時は徐々に交感神経の動きが弱くなり、副交感神経が活発になります。 自律神経の活動が円滑に進むと体が休まります。 睡眠直後の90分をしっかりとり、自律神経を整えることで健康で元気な身体づくりができます。
睡眠の質を高める方法
睡眠直後の90分間の質をよくするためには、体温調節と脳の切り替えが重要です。 睡眠の質を上げれば睡眠時間は削ってもよいわけではありません。 最低でも6時間以上は睡眠時間を確保しましょう。
睡眠時間を十分にとりつつ睡眠直後の90分間を質の高いものにすることが大切です。 体には体内にある深部体温と手や足などの皮膚から感じる皮膚温度の2種類があります。 人の体は起床時に深部体温が皮膚温度より約2度高く、睡眠時は起床時に比べ約0.3度下がり睡眠にはいります。 この深部体温と皮膚温度の差を縮めることによって質の良い睡眠が行えます。
入浴をする
睡眠の質を上げる方法として効果的なのが入浴をすることです。
入浴をすることによって体の芯まで体温を温めることができ深部体温を上げることができます。 40度のお風呂に10~15分くらい入浴をすれば体温が約0.5度上がり、体温が元に戻るまでに90分かかります。 なので入浴のタイミングは睡眠の約90分前に行いましょう。
また忙しくて入浴する時間がないという方は足湯でも入浴と同等の効果が得られます。 入浴はお風呂を沸かすための時間と手間がかかりますが足湯であれば洗面器などにお湯を張るだけなので手軽にできます。
ブルーライトは見ない
スマホでゲームアプリをしたりパソコンで動画を見ながら寝る方もいますが、暗い部屋で長時間のブルーライトを見続けていると睡眠に影響が出ます。 ブルーライトは脳の活発にしてしまう効果があるので睡眠の30分前はスマホやパソコンを避けることをおすすめします。
朝は太陽の光を浴びる
気軽にできるのは「朝の日差しを浴びる」ということです。
人の体内時計は通常1日25時間でセットされていますが、朝の日差しを浴びることにより24時間に補正されます。
なぜ補正されるかというと、脳内の視交叉上核(しこうさじょうかく)という部分が朝の日差しを浴びることで、体内時計を整える作業を行います。 そして太陽の光を浴びることで松果体(しょうかたい)という部分で、太陽の光を浴びた10時間~14時間後にメラトニンという「睡眠ホルモン」とも呼ばれる物質を分泌します。 このリズムにより睡眠を誘導できるのです。
睡眠は朝型と夜型、どちらが得なのか
人によって必要な睡眠時間は異なり、季節や個々人の体調によっても変化する場合があるとされています。また使っている寝具や周辺の光、音に影響されて変化する場合があるということが近年の研究結果で分かっています。
「早起きは三文の徳」ということわざもありますが、誰しもが早起きが合うとは限らないということも近年の研究結果として証明されています。 神経医療研究センターの三島和夫先生の研究によると、朝型生活と夜型生活ではとちらが向いているのか、その要因の50%ほどは遺伝で決まっていると結論づけています。
では、残りの50%が何で決まるのかというと、生活環境に大きく左右されるのだそうです。人間の体は、それぞれの生活や仕事スタイルなどさまざまな環境や要因に合わせて上手に微調整できます。
自分自身で生活リズムをつくろう
日々の睡眠不足を休日に補おうとして長時間睡眠をとったり不規則な睡眠をする方がいますが医学的に睡眠の貯蓄はできません。 むしろ長時間眠ってしまうことにより、体内時計のサイクルが崩れることになりかねませんので、休日でもできるかぎり同じ時間帯の就寝、起床を心がけましょう。
朝早くに起きるのが苦手という方は就寝前に「明日は7時に起きる」と、自分の中で強く唱えると、脳内ではコルチゾールというホルモンの分泌が活発になります。 すると体内時計を崩しにくい生活リズムを意識でき、健康的な睡眠の質の向上につながります。
生活の質を上げるためにも睡眠の質を上げる
睡眠のサイクルをうまく活用することで質の良い睡眠がとれ、疲労の回復や日中のパフォーマンスを向上させることにも繋がります。
身体の体調を崩してしまうと、あまりの疲れに倒れてしまったり、その影響により周囲に迷惑をかけてしまうことにもなり兼ねないので、睡眠の質を上げ健康的な体をつくりましょう。
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