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睡眠不足で太る理由と解消方法を解説

睡眠不足だと太ると聞いたことはありませんか。睡眠不足が肥満につながる理由は、ホルモンバランスや生活リズムの乱れが原因です。睡眠不足解消のために良質な睡眠をとる具体的な方法を解説します。

睡眠不足で太るメカニズム

人間の平均睡眠時間は7〜8時間。
サルなどを含む霊長類の中で最も短いと言われています。

2014年のOECD(経済協力開発機構)による調査では、睡眠時間の国別比較でアメリカが8時間36分であるのに対して日本は7時間43分。2018年のポラール・エレクトロ・ジャパンによる調査報告では男性が6時間30分、女性が6時間40分まで減り、主要28カ国中最下位となってしまいました。

睡眠不足の弊害のひとつとして「睡眠不足だと太る」と聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。
なぜ睡眠不足が肥満につながるのか、睡眠不足を解消するにはどうすればよいのかを中心に解説します。

ホルモン不足

睡眠不足が太る原因と考えられる第一の理由は、必要なホルモン分泌が不足してしまうからです。

まずは食欲に関するホルモン。スタンフォード大学の研究者たちが8時間睡眠の人と5時間睡眠の人のホルモン量を調べたところ、5時間睡眠の人は、摂食ホルモンと呼ばれる食欲増進ホルモン「グレリン」が約15%増えるとともに、食欲を抑える効果のある食欲抑制ホルモン「レプチン」が約16%減っているという研究データが得られました。レプチンの分泌が不足することで満腹感を得られにくくなり、必要以上に食べてしまいます。

次に、睡眠不足は代謝に関わるホルモンバランスも崩してしまいます。通常は深夜から朝にかけて分泌量が増える「コルチゾール」というホルモン。コルチゾールには睡眠中に体内の脂肪を分解する働きがありますが、睡眠不足で生活習慣が乱れていると分泌サイクルが乱れたり、十分に分泌できなくなったりするのです。 コルチゾールはストレスを受けると今度は過剰に分泌されることもあり、ストレスホルモンとも呼ばれます。

また、コルチゾールの過剰分泌は「成長ホルモン」の分泌を妨げてしまいます。 成長ホルモンの働きのひとつに脂肪の代謝アップがあります。睡眠不足などが理由で分泌量が不足すると、脂肪燃焼が妨げられてしまいます。

結果、太りやすい体質になってしまうのです。

時計遺伝子の働き

これまで夜の食事内容や量と肥満の関係について「夜はもう寝るだけでカロリーを消費しないから肥満につながる」と考えられてきました。しかし、最近は時計遺伝子「Bmal1(ビーマルワン)」に注目が集まっています。

Bmal1は体内時計をつかさどる遺伝子。
同時に、脂肪を取り込んだりエネルギーに変えたりする働きがあるのですが、なんとBmal1は21時頃から深夜2時にかけて脂肪吸収率を高めてしまいます。

Bmal1が働くサイクルは生活リズムからの影響を受けにくく、睡眠をどの時間帯にとるかは関係ありません。夜遅い食事は体脂肪増加の原因となってしまうのです。

他にもある睡眠不足の悪影響

睡眠不足で太りやすくなることは、専門的には「脂質代謝機能異常」と呼ばれます。

ダイエットとは無縁で関係ないと思うかもしれませんが、睡眠不足の悪影響は脂質代謝機能の異常だけにとどまりません。 よく言われるのは脳活動が鈍ることで生じる認知機能や思考力の低下。寝不足時のミスが増える原因です。

心当たりがないかチェックしてみましょう。

  • 集中力が続かない
  • 思考力が落ちている
  • 記憶力が落ちている
  • つい感情的になってしまう
  • よいアイデアが浮かばない
  • やる気がおきない
  • 自分はダメだと考えやすくなっている
  • ストレスがたまりやすい

慢性的に睡眠不足の状態が続くと内臓の働きや免疫にも影響を及ぼします。

  • 血圧が上昇してしまう
  • 虚血性心疾患のリスクが増大する
  • 糖尿病発症のリスクが増大する
  • 癌発症のリスクが増大する
  • 感染リスクが増大する
  • アレルギー発症、悪化のリスクが増大する

睡眠不足は太る原因になるだけでなく、日常生活にも支障をきたします。また、慢性的な睡眠不足は病気の原因にもなるのです。

質の良い睡眠方法

睡眠不足を解消するには、とにかく眠ること。

7~8時間の睡眠時間を確保しましょう。しかし、忙しくて十分な睡眠時間を確保できない人もいます。睡眠時間の確保をとることが難しいなら、睡眠の質を向上させることで睡眠不足を補っていきましょう。

良質な睡眠を得るには、次のことに注意してください。

就寝前にスマホは見ない

枕元にスマホを置いて、眠る直前までSNSやゲームをしていませんか?至近距離からブルーライトを浴びると、熟睡をもたらすホルモン「メラトニン」が減ってしまいます。
同じ理由から、真夜中のコンビニでLED照明を浴びるのも良質な睡眠を妨げてしまいます。

また、ブルーライトなどの照明の影響だけでなく、SNSやゲームで気持ちが興奮してしまうのも問題です。興奮状態ではなかなか眠れません。 少なくとも就寝30分前からは、スマホやテレビなど、明るい光の出るものや興奮を促すようなものは避けるようにしましょう。

体を冷やさない

良質な睡眠には深部体温が深く関わっています。眠りにつくタイミングで深部体温が下がれば、熟睡につながるのです。

冷え症の人は、足先が冷たくて眠れないという体験をしたことはありませんか。足先の冷えは、体温調整機能がうまく働いていないから。皮膚表面の温度は下がっていても体の内側の熱が放出されにくくなり、深部体温をうまく下げられなくて寝付きが悪くなってしまうのです。 冷え症の人は靴下をはいたまま寝ることもあるかもしれませんが、あまりおすすめしません。うまく深部体温を下げるには、手足からの放熱を妨げないほうが良いからです。
一般的に、3つの首である「首」「手首」「足首」を冷やさないようにすると、体が冷えすぎるのを和らげてくれるといいます。手足の末端が冷えすぎて眠れない場合は、首元や手首、足首を温めつつ、手足の先端は覆わないようにしましょう。

もうひとつ、深部体温をうまく下げるには、就寝1時間前にぬるめのお湯に入浴するのがおすすめです。湯船に浸かって体をあたためることで、1時間後には深部体温がしっかり下がって入眠しやすくなります。

朝食にタンパク質をとる

忙しい現代人、朝食は食べない、軽く済ませたいという人もいるでしょう。それでも、良質な睡眠のためには朝きちんとタンパク質をとることを心がけてください。

タンパク質には、さまざまなホルモンのエネルギーとなるアミノ酸が多く含まれています。熟睡を促すメラトニンの量は、日中につくられる「セロトニン」というホルモンの量に影響されます。セロトニンが多くつくられるほど夜になってメラトニンの量も増え、質の良い睡眠を促してくれるのです。

セロトニンをしっかり分泌するために必要なのは、トリプトファンという必須アミノ酸。人間が自分の体内でつくることができないので、食物から摂取しなければなりません。トリプトファンを比較的多く含む食品は以下のとおりです。

  • 乳製品や卵、大豆
  • 赤身の魚、肉類
  • アボカド
  • バナナ
  • ナッツ類

朝食にこれらの食材をとりいれるとともに、午前中に太陽光をしっかり浴びると、ホルモンの分泌サイクルが整いやすくなって睡眠の質を向上させられます。

もし夜勤明けや夜型生活なら眠るときはカーテンを閉めて太陽光をシャットアウトし強い光を避けることで、熟睡しやすくなります。光を適切に活用して、睡眠不足による肥満リスクを低減させましょう。

睡眠不足の悪影響は太るだけじゃない

睡眠不足は想像以上の悪影響を私たちの心身に及ぼします。
脳機能が低下するだけでなく、ホルモンバランスや生活リズムの乱れが体重増加につながり、重大な疾病の発症リスクも高まります。睡眠を管理することは自分の人生を管理すること。

睡眠管理をきちんと行い、健康な心と身体を手に入れましょう。