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1000人の社員でマインドフルネス、楽天技術研究所の考える働き方改革とは。

昨今、働き方改革や健康経営の分脈でHR領域が注目されていますが、採用以上に「社員の生産性が高い状態を維持できる」HR業務の重要性がここ数年増しています。

そのような「これからのHR」について、新しい時間軸で働き方改革、健康経営を進めていく睡眠スタートアップのO:incは、実際に企業側での思想や取り組みについて発信する場を設けることによって、同じようにHRに力を入れる企業を少しでも増やせたり、休退職者の削減や生産性向上に繋げられればいいと思っています。

記念すべき第1回目は、外国籍の方が非常に多くてダイバーシティあふれる環境でマネージャー/リーダーとしてメンバーを牽引したり、「本気のマインドフルネス」など先進的な取り組みを実施されている楽天技術研究所代表森正弥様にお話をお伺いしました。

「体と心の健康を高める」ためのマインドフルネス

ー貴社ではマインドフルネスについてかなり積極的に社として取り組まれている旨を伺いました。 元々どういう経緯で社内でマインドフルネスの動きが始まって、それからどのように広まっているのかをお伺いしてもよろしいでしょうか。

(森様)
マインドフルネスネットワークという社員が自由に参加できるプロジェクトが存在します。 楽天グループには社員が約2万人以上在籍しているのですが、そのうち約1000人がマインドフルネスネットワークに参加しています。

このプロジェクトはマインドフルネスを行い、集中力を高め、日々の仕事にいい循環を出していくことを目的としています。

まず、背景としては楽天技術研究所のメンバーの1人でスリランカ出身の人間がいて、彼がIoT研究の一環として、スマホアプリとセンサーの組み合わせた「社員のコミュニケーションサポート」のツールを作っていたんですね。

具体的には、その社員が「どのようなことに関心があるか」「その社員と他の社員が出会ったかどうか」がわかるツールです。
このツールを使うと、「今あなたの前にいる社員は何に興味があり、どのようなプロジェクトに取り組んでいて、何をしているのか」ということがわかるようになりますが、コミュニケーションを活性化させていこうというプロジェクトの一端でした。 そのタイミングで、彼は同時に「社員同士のコミュニケーションと従業員満足度の関係」を調べていたのですが「コミュニケーションが多い方が、満足度が高い」という結果が判明しました。

さらに「休憩時間を効果的に使う」などのマインドフルネスに繋がるような行動も効果的であるという知見も溜まってきたこともあり、様々な科学的なデータを集めるために、実際にシンガポールの大学のマインドフルネスの研究をされている先生方と活動を開始しました。 そういった活動に対して社内で思った以上に反響があり、今では国内でも随一の規模のネットワークになりました。

ー貴社は非常に多国籍の方が働かれていますが、マインドフルネスに熱心な方が増えている原因はどういう背景があったからだと思われますか。

(森様)
会社内でのダイバーシティ化が進み、グローバルにおいて感度の高い人が増えたからです。 マインドフルネスというアプローチは日本国内より海外の方が注目度が高いです。これは特にグーグルを代表とするグローバル企業が推進に寄与してきたというところがあるかと思います。

楽天に関してお話すると英語を公用化してから、外国籍の社員が増えました。 現在は開発に関わるテクノロジー関連の部署は6割が外国籍の方で、事業サイドの方も3割が外国籍です。 非常に外国籍社員が多く、我々の視点もグローバライズされてきたということもありますし、同時にダイバーシティ化が進んでいます。

また、我々は世界中に拠点を持っているため、どの時間でも世界のどこかの拠点で社員は仕事をしています。 社員の中には、他の国と緊密に働いている人もいて、そういうメンバーはややもすると営業時間以外にも働いていしまうことになる恐れもあります。 実際に海外拠点との会議やコンタクトは営業時間外になることもありますし、そうするとどうやって自分のオンオフを保ち、健康状態をキープしていくのかというのはすごい重要です。「体の健康と心の健康」は非常に大きなテーマになっていますね。

毎週決まった時間に会議室行くと、みんなで瞑想体験できる

ーマインドフルネスを取り組まれている中で、具体的に行っていることは何ですか。

(森様)
毎週必ず決まった時間に大きな会議室はマインドフルネスのためにブロックされていて、そこに社員が集まって瞑想が出来ることです。 その事実は社員に周知されるよう「今は瞑想中なので、入らないでください」みたいな張り紙があります。

また、マインドフルネスをもっと効果的にするにはどうしたらいいのかという情報交換のランチ会などが、毎週のように開催されています。

ーなかなか、毎週大会議室をとることを他の企業で行うのは難しいじゃないですか。それを御社が出来るのはなぜですか。

(森様)
人事が非常に親身にサポートしているからだと思います。 また、人事だけでなく役員もプロジェクトオーナーやプロジェクトスポンサーとして、後押しをしているからだと思います。

ーいつくらいから変わり始めたというタイミングはありますか。

(森様)  
ここ3,4年です。

─相当早いですね。世界的に話題になって始まったのもそのくらいですよね。

(森様)  
そうですね。社員のコミュニケーションや社員の心の健康へアプローチしたのが、5,6年くらい前からなんです。

─なるほど。私も是非1回くらいは参加させて頂きたいです(笑)

(森様)
ぜひぜひ(笑) 色々な大学のマインドフルネスを研究されている方にも来て頂いて、講演をしてもらうんですが、講演会は説明するよりも、「みんなで同じ場所でマインドフルネスをやること」が大事ですと、その場でマインドフルネスから始まるんですね。

長時間働くことが好きなメンバーがリーダーになったとき、その人と一緒に仕事をするメンバーとの適合性を注視する

─ここからは森さんのマネージャーとしての一面をお聞きしたいと考えております。 まさに多国籍で様々な人たちがいて、文化の違いから多くの問題が日常的に発生しているのではと推察していますが、マネージャーとして気をつけられていることをお伺いしてもよろしいでしょうか。

(森様)
「個人」の違いもそうなんですが、「文化圏」や「地域」の特徴をいかに上手く含めたマネジメントをしていくかはあると思います。 色々な国籍の方が多いのですが、「個人」「文化圏」「地域」によって特徴はあります。一つのやり方をもちろん押し付けるのではなく、それぞれの個性・特性をふまえてチームとしての活動をするかしないかで、大きく成果が変わってくると思います。

今現在は、僕自身が直接プロジェクトの指示をすることは特殊なプロジェクトでない限りほとんどなく、「研究マネージャー」「研究リーダー」が研究の方向性を示して、「プロジェクトマネージャー」がプロジェクトを指揮します。僕自身はどの役割の人ともコミュニケーションをとっています。

─お忙しい中、様々なプロジェクトを常に掛け持ちされていると思いますがマネジメントの時間を作るために何か仕組みを作っていることはありますか。

(森様)
僕がなるべく介入しなくても済むような仕組みを作っています。

前提としてそれぞれのマネージャーの人たち、メンバーの人たちが仕事を通して得たいものがあります。経験やスキル、キャリアの機会です。 なので、その人達の守備範囲を広げていけるよう、成長やスキルに合わせて組織を変えていける仕組みづくりには力を入れています。

例えば、研究所のマネジメントだけではなく、研究所と他の部署にまたがったプロジェクトのマネジメントとかをやってもらうことなどです。 この仕組みはそもそも、その人達のキャリアアップを後押ししていく結果としてやっていきたいなという思いからスタートし、今も取り組んでいます。

─先程の「心の健康」という話を思い出しましたが、これだけたくさんの多様な方々がいらっしゃれば、メンタル面が不調になる方もいらっしゃると思います。 心の中は表に出づらい部分ですが、森さんはそういった方にどのようなアプローチをされているのでしょうか。 例えば、予防が大事だからそもそも問題が起きないようにする、問題が発生した際にすぐ対処することを心がけるなど、そのあたり気をつけられている点はありますか。

(森様) 従業員が、どれくらい働いているのかを会社の人事としてモニタリングを行うことです。 調子がよくノリに乗って頑張っている人も、本当に調子がよくて頑張っているのか、実は自分も知らないうちに無理をしているのか分からないことってありますよね。 なので、ポジティブに働いている人も、慢性的に長時間働きそうな傾向があったら気を使います。

これはマネージャー育成・リーダー育成の視点で見ると別の重要なポイントがあって、その人の中では「何の問題なく働いている」場合もあるんですけれども、その人がリーダーになったとき、その人のスタイルとメンバーのスタイルをどのように合わせるのかという問題がでてくることもあります。 そういう人とは、将来リーダーになったときに、メンバーとはどのように関わっていくのかみたいな話をしていく中で、その人の考え方みたいなものも確認していますね。

生産性を上げるために「生産性と一線を画すところ」を目指す?

─最後の質問になります。 非常に抽象的な質問になりますが、「生産性を高める」という社会的課題について、どのような働き方を日本はしていくことが重要だと捉えていらっしゃいますか。

(森様)
「生産性」の定義やその意義に関する議論は必要だと感じます。

生産性の定義について議論をした際に「定義されたゴールに向かって、いかに早くあるいはいかに大量の成果を出すか」という話であるのであれば、リソースをどれぐらい利用できるのかというテーマになってきます。 そのようなゴールへの向かい方については、IT化でどれだけ効率性を高めるかという話にはなると思います。いかにAI化やビッグデータ化していくかが重要だということです。

でも、できれば「そのような生産性と一線を画した価値の創出」にも挑戦すべきとは思います。 つまり、いかに他のやらないことをやり差別化をしつつ、顧客価値を創り出すか、ということです。

我々に当てはめると、ディープラーニングの研究自体は世界中の研究者が行っていて盛り上がっていますし、数十億円の予算を投入している企業も少なくないわけです。 そのような企業はトップ研究者の方を囲い込んで、そこの研究所の学生も囲い込んでいます。 そういった企業と真っ向から勝負したら、資金量の勝負になるだけです。他の人達がやれない研究でありながら価値を生み出すところを探すことが非常に重要になります。 それが楽天技術研究所においては「マーケティングとディープラーニングの組み合わせ」というところになります。

他との差別化を実践することで、効率性が指標となる生産性の議論と一線を画した、本当の意味での、働き方改革みたいなものを実現出来るのではないかと思います。

─これからのご活動が心から楽しみです。  本日はお忙しい中、貴重なお時間とご意見を頂き誠にありがとうございました。

森様の記事もあわせてご参照ください。

https://note.mu/masayamori/n/n71199cbacff9