効果抜群の「すぐ寝る方法」で最高の快眠生活を
ベッドに入ってもなかなか寝付けなくて、ついついスマホをいじったり、テレビをみてしまうことでさらに目が冷めてしまう。という悪循環に陥っている方はいませんか?
寝つきの良い人と悪い人がいるのには科学的な理由があります。
今回はそのメカニズムと対策について解説していきます。
目次
睡眠負債の恐ろしさ
すぐに眠れない日が重なると、「ああ、また今日も眠れないのか・・・」などと、睡眠そのものがストレス源になっていきます。すると、ベッドに入ることが苦痛になり、神経が興奮してしまいます。
その結果ますます寝付けなくなり、やがては「睡眠負債」と呼ばれるような睡眠不足の蓄積が当たり前になってしまうのです。
日本人の5人に1人は眠りの質に問題あり!
厚生労働省が実施した「平成29年国民健康・栄養調査」によると、「睡眠で十分に休養が取れていない」という睡眠不足の人が20%もいるそうです。 先ほど6時間寝ても「睡眠負債」が蓄積してしまう恐ろしさを説明しましたが、本調査によると、1日の睡眠時間が6時間未満という人は、40歳代男性で48.5%、同女性では52.4%にも達します。
「日本人は、深刻な睡眠負債を抱えている」
これが日本人の眠りの現実なのです。
睡眠の質を高めるコツは「すぐ寝る」
眠りにつくとノンレム睡眠という深い眠りが3時間ほど続きます。このノンレム睡眠をしっかり確保することが重要です。ノンレム睡眠の最中は、細胞を修復する成長ホルモンが分泌されたり、代謝活動が促進されたりするなど、人が健康を保つために欠かせない生理現象が活発になるからです。
したがって、睡眠の質を高めるには、寝付いてから3時間のノンレム睡眠をいかに安定させるかが重要です。
ノンレム睡眠を安定させるには、「ベッドに入ったらすぐに寝る」というのが理想です。いつまでも寝付けないと、眠れないこと自体が強いストレスになり、深い睡眠が得られなくなるからです。
すぐに眠れない理由1〜そもそも睡眠を必要としていない
ベッドに入ってもすぐに眠れない、その最大の原因は「身体や脳が疲労していないので、睡眠をあまり必要としていない」ということです。
人間の生理現象には必ず目的があります。エネルギー不足なら食事をし、酸素不足なら呼吸をしますよね。同様に、疲労を解消するために睡眠をとるわけです。
日中の自分の活動を思い出してください。
十分に働いていますか?
学生なら、思う存分勉強していますか?
スポーツ選手なら、しっかりトレーニングをしていますか?
身体と頭を適度に使い、疲労させよう
日中ただぼんやりと時間をつぶすだけで、身体も頭も使っていなければ、そもそも疲労が蓄積していないので、すぐに眠れないのは当たり前。
身体と頭を十分に使い、適度に疲労する生活習慣をこころがけましょう。
すぐに眠れない理由2〜体内時計がずれている
「本当は早く寝たいのにどうしても寝られない。それどころか、入眠時間が少しずつ夜中にずれてしまう」
そんな人は体内時計(サーカディアンリズム)が狂っているのかもしれません。
人間には24〜25時間周期で動作する体内時計があり、これによって概日リズムが保たれています。暗くなると眠くなり、明るくなると目がさめるという習性は、概日リズムが正常である証拠です。 概日リズムが狂ってしまう典型例が時差ボケです。眠るべき時間と起きるべき時間が逆転することで概日リズムが乱れれば、睡眠リズムも異常をきたし、不眠を引き起こします。
概日リズムをリセットしよう
カーテンを閉め切った部屋に長期間閉じこもるなど、外界からの刺激(光や音など)を遮断した生活も概日リズムを狂わせます。
日が昇ったらカーテンをあけて朝日を浴びましょう。窓をあけて外気を胸いっぱいに吸い込んで、外の音に耳を傾けてください。こうすることで体内時計がリセットされます。
夜になったら強い光や音などの刺激を避けることも大切です。就寝時間が近づいたら、部屋を暗くして、飲食はしないようにしましょう。寝る直前まで光や食べ物による刺激を受けていると、せっかくリセットした概日リズムが乱れ、寝つきが悪くなってしまいます。
すぐに眠れない理由3〜交感神経が興奮している
人間のあらゆる行動を支配するのは脳と神経ですが、内臓のように重要な器官は脳からの命令がなくても24時間無休で働く必要があります。
内臓の働きを支配するのが自律神経です。
自律神経は交感神経と副交感神経で構成されています。 日中の活動時間帯に活発になるのが交感神経です。交感神経が活発になると、心拍数が増え、呼吸が浅く早くなり、血圧が上昇します。このような状態ではスムーズに寝付くことなどできません。
副交感神経を優位にしよう
興奮状態にある交感神経を鎮めるには、副交感神経を優位にすることが大切です。副交感神経が優位に働くと、心拍数は減り、呼吸は深く遅くなり、血圧が下がります。血圧が下がると気分もリラックスしてくので、スムーズに寝付けるようになります。
副交感神経を優位にするには、「入浴」「ストレッチ」「呼吸法」「連想法」「音楽」といった方法があります。
入浴
ぬるめのお湯で入浴すると、副交感神経が優位になります。血行が良くなり、筋肉の緊張もゆるむのでリラックス効果は抜群です。 お風呂から上がると、上がった体温を下げようとして皮膚の表面から熱が十分に放散されます。するとその反動で体内の温度(深部体温)が下がります。深部体温が下がると、脳の活動が低下し、強い眠気におそわれるので、スムーズに入眠できます。
深部体温が下がり始めるのはお風呂から出ておよそ90分後ですから、就寝時間の1時間半〜2時間前に入浴するのがベストタイミングです。
ストレッチ
入浴する時間のない人は、就寝前にストレッチをするのがおすすめです。ストレッチは筋肉や神経の緊張をときほぐしてくれるので、副交感神経を優位に導きます。
ただしやりすぎは禁物です。
痛みを感じるほどのストレッチは筋肉を緊張させてしまい、交感神経が活発になるので、かえって入眠の妨げになります。
呼吸法
呼吸法を実践することでも副交感神経を優位にできます。おすすめのタイミングは就寝前です。
ベッドの上で呼吸法を繰り返していくうちに、副交感神経が優位になり、リラックスして寝つきが良くなります。
呼吸法にはさまざまなバリエーションがありますが、シンプルで効果が望めるのは、「瞑想の呼吸法」と「478呼吸法」です。
- (瞑想の呼吸法)
- まず鼻から息を吐きます。吸う前にしっかり吐ききることが重要です。
- 吸った息を腹にためます。胸はふくらまさず、腹に空気が流れ込むようなイメージです。
- 腹にためた空気を、ゆっくり吐ききってください。
瞑想(めいそう)の呼吸法をしている間は、呼吸に意識を集中してください。あれこれ考えを巡らせると雑念が生まれ、交感神経が活発になってしまいます。
- (478呼吸法のやり方)
- 4秒間かけて鼻で息を吸う
- 7秒間息を止める
- 8秒間かけて口から息を吐く
- 1〜3を3セット繰り返す
478呼吸法のポイントは「吸う時の倍の時間をかけて息を吐く」という点にあります。これにより副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせることができます。
連想法
「シャッフル睡眠法」と呼ばれる連想法も副交感神経を優位にするため、眠気を誘うのに効果的です。
- シンプルな言葉をひとつ用意します。たとえば「佐藤」という自分の名前を用意します。
- 頭文字の「さ」で始まる言葉(さすが、さっぱり、など)をどんどん連想します。
- 「さ」で始まる言葉が連想できなくなったら、次は「と」で始まる言葉、その次は「う」で始まる言葉を連想します。
- 「さとう」を使った連想が終わっても寝付けない場合、さらに他の言葉でトライします。
ポイントは、お互いにつながりのない言葉を連想すること。
「さっぱり→さては→最低→参考・・・」というように、つながりのない言葉を次々と連想していきましょう。
脳にとって、つながりのない言葉を考え続けることは「無意味な営み」ですから、次第に活動が鈍くなり、眠気をもよおしてきます。このとき自律神経は副交感神経が優位になっているので、リラックス効果が高まり、次第に眠くなっていくわけです。
音楽
リラックス効果のある音楽を小さいボリュームで聞くのも、副交感神経を優位にしてくれます。
リラックスできる音楽としてよく挙げられるのが「モーツァルトなどの心地よいクラシック音楽」ですよね。 もっとも、これは人によりけりで、クラシックが嫌いな人だとかえってストレスになり、交感神経が優位になってしまいます。自分の好きな音楽で、あまり激しくないものであれば何でもOKです。
最近は眠りを誘う音楽やナレーションが流れる「眠れるスマホアプリ」もたくさんあるので、自分好みのアプリを選ぶのもいいでしょう。
ただし、アプリを作動させたらすぐにスマホから離れること。うっかりメールやラインを開いたり、お気に入りの動画を見たりすると、画面から放射されるブルーライトが交感神経を刺激してしまうので、寝つきが悪くなります。
アルコールや睡眠薬はおすすめしません!
ここまで説明してきた方法は、遠回りな方法ともいえます。
「めんどくさいことはいいから、とにかくあっという間にすぐ寝たいんだ!」という人にとっては役に立たない情報だったかもしれません。
もちろん、即効性のある「すぐ寝る方法」もあります。
アルコールと睡眠薬です。
アルコール
すぐ寝る方法の1つめは、お酒を飲むことです。
適量のアルコールは入眠までに要する時間を短縮できます。 しかし、これはおすすめできません。アルコールは眠りの深さを浅くしてしまうからです。 浅い眠り(レム睡眠)は、記憶の整理などには役立ちますが、健康の維持にとってはあまり有益ではありません。ストレスなどで傷ついた細胞が修復されたり、代謝が促進されたりするのは、深い眠り(ノンレム睡眠)の最中なのです。
また、いかにすぐ寝られるからといってアルコールを飲んでばかりいると、アルコール依存症になる危険性もあります。
睡眠薬
睡眠薬は科学的根拠に基づいた薬効成分を使っているので、当然のことながらスムーズな入眠に役立ちます。
しかし、睡眠薬もおすすめできません。まず、使用には処方箋が必要ですし、体質によっては副作用が出る可能性もあるほか、服用期間はアルコールの摂取を控えなければいけないなど制約が多いからです。
また、「すぐに眠れない」という状態は、身体と脳が危険であるというサインですので無理に自己解決しようとせず、睡眠外来に掛かるのも一つの方法です。
睡眠の質を高めて健康になろう!
今回ご紹介した方法は、いずれも「無理やり短時間で寝る方法」ではありません。
「適度に身体と脳を疲労させる」「興奮した交感神経を鎮める」といった方法は、即効性はないかもしれませんが、あなたの睡眠の質を確実に高めてくれます。
スムーズな入眠にくわえ、眠りそのものも深くなるので、疲労回復など体調面のプラス効果もあります。ぜひ実践してみてください。
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