寝不足になると腹痛が起こる?重大な病の前兆であることも…
寝不足がもたらす体調不良の中には激しい痛みに襲われる腹痛や、下痢、便秘などがあります。寝不足とは無関係のように見える腹痛ですが、なぜ寝不足から腹痛が起こってしまうのでしょうか。
寝不足から起こる腹痛の原因と解決方法について説明していきます。
寝不足で腹痛が起こる原因
これまで原因不明の腹痛が起こり、次の日には治っていたということがあれば、腹痛の原因は寝不足だったのかもしれません。 寝不足の場合、下痢や便秘だけではなく、キリキリと胃痛がしたり、ギューッと握られたような激しいおなかの痛みが起こるなど、症状はさまざまです。
では、なぜ寝不足でこのような症状が出てしまうのでしょうか。 寝不足による腹痛の原因を解説します。
寝不足は自律神経失調症になり胃腸に影響がでる
人は寝不足で睡眠が不足している状態になると、脳や体が疲労し集中力や記憶力も衰えます。 脳の疲労状態が続くと神経にも悪い影響が出てしまい、正常に体が機能しなくなるのです。 神経に蓄積された疲労は、体の機能をコントロールしている交感神経と副交感神経の2つの自律神経のバランスが崩れてしまいます。
交感神経は興奮や活動といった日中の活動期に優位になる神経で、副交感神経は睡眠時やリラックスしている時に優位になる神経です。 睡眠不足になると、この2つの神経のバランスが崩れ自律神経失調症になってしまいます。
自律神経失調症になると、人の体の中でもデリケートな胃腸に影響が出てきます。 胃腸の働きが弱くなり、消化機能が正常に働かなくなるため便秘や下痢、腹痛などの症状が出てくるのです。
睡眠不足が続くと過敏性腸症候群になる可能性が!
自律神経が乱れたことにより起こった腹痛や下痢、便秘をそのまま放置してしまうとさらに症状は悪化し、最悪の場合「過敏性腸症候群」になる可能性があります。
過敏性腸症候群は、病院で診察しても特に胃や大腸に炎症がないのに便秘や下痢が数日続く状態のことです。 過敏性腸症候群には、下痢型・便秘型・混合型の3つの種類があり、特に下痢型は男性、便秘型は女性に多く、知らない間に過敏性腸症候群になっていたという人も少なくありません。
過敏性腸症候群の大きな原因はストレスによるものとされていますが、はっきりと原因が解明されているわけではありません。 ストレスが溜まることでも自律神経が乱れ自律神経失調症になってしまいますので、腹痛や下痢が起こってもおかしくありません。
また、下痢や便秘などの症状や腹痛が長く続いている場合は、過敏性腸症候群ではなく、さらにひどい難病のクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患にかかっている可能性もありますので、必ず医師の診断を受けましょう。
過敏性腸症候群になると寝不足の無限ループに
過敏性腸症候群は、クローン病や潰瘍性大腸炎のように重症ではありませんので、治療を受けることで完治します。 ですが、過敏性腸症候群になると腹痛や下痢のために寝ている途中に目覚めてしまったり、便秘や腹痛の不安から眠りが浅くなり睡眠途中で目覚めてしまうことがあります。
また、うとうとと寝入りそうな時やそろそろ目覚めるという時に腹痛に襲われることもありますので、睡眠に対してストレスが溜まるようになってしまいます。 もちろん、腹痛や下痢が続けば食欲もなくなり、体力も衰えますから睡眠も浅くなり、さらに寝不足になってしまいます。 体力を回復させたいから眠りたい、でも腹痛や下痢で眠ることができないと、寝不足の無限ループにはまってしまいます。
もし過敏性腸症候群になった時は、まずは病気を治すことが大切です。
寝不足による腹痛を改善する5つの方法
寝不足が胃腸に悪影響を及ぼしていたことがわかりました。
では、ここからは、寝不足による腹痛をどう改善していけばよいのか、改善法を5つご紹介していきましょう。
消化が良く善玉菌を増やす食事を心がける
寝不足の影響でおなかの調子が悪い時は、胃腸の働きが弱っているためうまく消化できません。 ですので、胃腸の消化吸収を助けるために、うどんや雑炊、おじや、豆腐、おかゆ、野菜スープなど消化の良い食べ物を摂るようにしましょう。
また、大腸に善玉菌が増えれば消化吸収が改善されますので、納豆などの発酵食品も多めに摂るようにしましょう。
ただし、発酵食品でもキムチのような刺激物や、塩分・糖分の多い食べ物は胃腸に負担をかけてしまいますので、摂りすぎには注意しましょう。
食事の回数を減らし、ゆっくり噛んで食べる
食事の回数を減らして胃腸が働く時間を減らせば胃腸の負担を軽減できます。 人の体は食べ物を完全に消化しきるまで12時間かかると言われています。
本来であれば1日3食をしっかり食べた方が健康的なのですが、胃腸は常に消化吸収に大忙しで負担がかかっている状態です。 おなかの調子が悪い時は食事回数を減らして胃腸の負担を和らげてあげましょう。
また、よく噛んで食べれば食べ物がお腹にたまるのを最小限に防ぐことができるので、胃腸の消化を助けます。
体調が良い時は適度に運動をする
あまりお腹の調子が悪い時は無理をすることはありませんが、比較的元気な時は適度な運動も大切です。 運動をすればストレスの解消になり自律神経も乱れにくくなりますし、胃腸を動かすことで消化吸収を促し体力もつきます。
ただし運動が苦手で、運動をすることでストレスを感じる人は、負担にならない程度のウォーキングなどから始めましょう。
規則正しい生活リズムで睡眠不足を解消する
腹痛がひどくなかなか寝付けないこともあると思います。 だからと言って生活リズムが乱れてしまうと睡眠不足が蓄積し、さらに別の病気になる可能性もあります。
また、睡眠不足が続くと自律神経が乱れたままで腹痛が長引いてしまいますので、できるだけ睡眠不足にはならないようにしましょう。
ストレスを解消しリラックスできる時間を増やす
ストレスは自律神経を乱す大きな原因です。 趣味の時間を作ったり、お風呂に浸かる、ラベンダーなどリラックス効果のあるアロマを炊くなどリラックスタイムを作り、ストレスを解消しましょう。
ストレスは過敏性腸症候群や自律神経失調症だけではなく、さまざまな病気を引き起こします。 寝不足でイライラしがちですので、まずはストレスを解消しリラックスタイムを満喫することでイライラも解消され腹痛も和らいでいきます。
寝不足由来の腹痛にはツボ押しも有効
日常の生活習慣を改善し、寝不足時に腹痛を起こしにくくすることも大切ですが、寝不足の状態で急に起こった腹痛にすぐさま対処する必要が出てくる場面も出てくることでしょう。そのようなときに有効な手段がツボ押しです。
これから腹痛に効き目抜群のツボをいくつかご紹介します。
急を要する場面以外にも、日ごろからツボ押しすることで腹痛になりにくくなる効果もありますので、ぜひ試してみてください。
腹部のツボ
直接痛い部分を刺激することになりますが、その分効き目が大きい腹部のツボをご紹介します。
中脘(ちゅうかん)
みぞおちとおへその中間にあるツボです。
内臓全般の機能を活性化させ、全身の機能を向上させます。
1日3回、3秒程度押すことをおすすめしますが、眠りにも効果があるとされているツボですので、睡眠改善効果を期待したい方は就寝前に5秒ほど刺激しましょう。
関元(かんげん)
別名「丹田」といわれるこのツボは、人間の気力の源とされています。
このツボは消化器系全般に効果のあるだけではなく、女性のホルモンバランスを整えたり、精神を安定させたりと良いことづくめのツボです。
関元は手の指をそろえて人差し指をおへそにあてた際に、ちょうど小指が当たるところに位置しています。
手のツボ
なかなか腹痛のタイミングで腹部を刺激することができない環境にいる方もいるでしょう。
そのような時には手のツボを刺激しましょう。いくつか手の代表的な効果のあるツボを紹介しますので、ピンチの時には押してみてください。
合谷(ごうこく)
合谷は疲れている時などに強く刺激すると痛みを感じることから、疲れのバロメータとして知られています。
親指と人差し指の付け根の間に位置しており、肩こりから冷え性、腹痛にも有効なツボです。
実際に刺激する際には、疲れを感じた時に強めにもう片方のツボで押すと良いでしょう。筆者は棒状の健康グッズやボールペンの裏側の部分で刺激しますが、皆様もツボ押ししやすいグッズを見つけてみてはいかがでしょうか。
腹瀉点(ふくしゃてん)
腹瀉点は下痢を緩和する際におすすめのツボです。
このツボは急に下痢を催したときに効果がすぐに出やすいためおすすめです。
手の甲の中指と薬指の骨の間を手首方向に押した際にくぼんでいる部分が腹瀉点です。少し押しにくいですが、親指と人差し指ではさんで刺激しましょう。
労宮(ろうきゅう)
労宮の「労」は労働を、「宮」は手の中央を表しており、まさに手の中央にあるツボです。
具体的には自分の手を握ったときに、中指が手のひらと接する部分がありますが、そちらが労宮です。
このツボの最大の特徴は精神機能をつかさどり、刺激をすると心地よく感じ、気持ちが和らぎます。腹痛の原因の1つに心的な原因がありますが、このツボを刺激することで交感神経の働きを少し和らげる効果があります。
ぜひ一度試してみてください。
寝不足を改善すればさまざまな体調不良も改善される
寝不足は腹痛だけではなくさまざまな体調不良を起こします。
1日程度の睡眠不足であれば、翌日ぐっすり眠れば改善できますが、睡眠不足が蓄積して睡眠負債となっている場合は、日ごろの生活習慣を改善する必要があります。 睡眠時間の確保を心がければ寝不足が原因の腹痛やさまざまな症状の悩みを解決できます。また、生活習慣の改善で腹痛の改善が見込まれない場合はツボ押しも有効な手段です。紹介した手段を活用し、寝不足の腹痛に対処していきましょう。
関連記事